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神明流「めん茶房さえずり」

そば屋さんの火加減

そば屋さんの火加減

おそば屋さんの釜はふつう40リットルくらい水が入る大きなものです。

これで大体一回に十人前ほど茹でますから、一人前はほぼ4リットル

くらいの湯を使うことになります。

水をたっぷり使ってゆっくり大きな動きの中でそばを茹でるのが基本

なのですから、家庭でも最低一人前に対して2リットルくらいの水は

必要でしょう。

さて次に火加減ですが、これはあまり強くないほうが

よろしいようです。

というのも火加減が強すぎると、そばが大急ぎで釜の中を泳ぎ回り、

芯が茹で上がらぬうちに表面が削り取られてしまうからです。

かと言って、生のそばを投入する瞬間には当然沸騰していなければな

りません。

なにしろ、冷たい物を入れるのですからお湯の温度はぐっと下がって

しまうのです。

また、そば屋さんの火は釜の奥の方にだけ強くあたるようになってい

て、湯が釜の中を回転するような火加減になっています。

真ん中から泡が立つような火加減をおそば屋さんの言葉では「嘘っ火」と呼ぶそうです。

さてもう一つ、茹で方の口伝えには「蕎麦の煮過ぎは恥じゃない」

「煮え前は恥」というのがあります。これはそばは茹でられてから

冷水で「洗う」という作業があるからです。

しかし素人にとって、生そばの本当に適切な湯で加減を見極めるのは

なかなか困難なことなので、実際のところはやや早め、早めに湯から

切り上げるのが無難なところではないでしょうか。

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